国立行政学院(ENA)廃止のニュースについて

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マクロン大統領が、自らの出身校でもある国立行政学院(ENA)の廃止を決定したことが報道されています。一説には庶民的ではないという批判のもと、支持率も低下しているマクロン大統領の選挙対策ともいわれています。

経済学においては、ケインズのハーヴェイ・ロードの前提というものがあります。

一企業を経営するのとはわけが違い、国を経営するということは、一歩間違えば民族の存亡にかかわるような一大事です。したがって、官僚や政治家は、その国の最高の頭脳の持ち主であるべきだというある種のエリート主義です。

国家最高の頭脳をもって、国政や外交に臨まなければ、交渉相手も同様の陣営で来るわけですから戦えないという考えです。すごくまっとうで正しい考えのようにも思えます。

かつての日本人には美意識や美徳という考え方が、多くの国民にいきわたっていました。シンプルイズベスト、倹約や奉仕、謙虚な態度が見せかけではなく、根付いていました。エリート主義は、このような社会環境においては大変うまく機能すると思われます。

ところが、自分さえよければといった個人主義的な考え方や行動が当たり前になれば、エリート主義は行き過ぎた格差と、ギスギスした嫌な社会を誕生させます。

エリート主義そのものが間違えているとは、個人的には思いません。成功した人々の意識や価値観が、昔の日本人が持っていたような公報滅私の精神を柱とする限り、エリート主義はむしろ必要だと思います。

MBAをはじめとしたエリート教育のなかに、働くことの意義や、三方良しの考え方など、拝金主義と真逆の価値観を根付かせる仕掛けを講じることができれば、国立行政学院(ENA)のような学校を廃止する必要はないのではないでしょうか。国民の批判があるから改革ではなく廃止では、確実に国力の低下につながると思います。

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