社会科学としての経済学 ~人間の意思決定メカニズムの探求~

 社会科学とは何か?

経済学は社会科学の学問です。
社会科学とは、人間の意思決定を研究することに他なりません。

わたしたちは生きている限り、毎日、無数の意思決定を繰り返します。こうしている今でも、目の前には無数の選択肢があるはずです。このサイトを見続ける、お菓子を食べる、遊びに行く・・・などなど。

時間は無常にかなりのスピードで流れ続けています。
人は、その場その場で、無数の選択肢のなかから、たった一つを選ばなければいけません。そして、一度選んでしまえば、やり直すことはできません。時間は一方通行で流れています。

また、無数の意思決定を繰り返すのであれば、偶然や運といった要素は排除されます。運や偶然が作用するのは、一回限りなど、数少ない意思決定の場合のみ通用するからです。


何度も、何度も、無数の意思決定を繰り返すのであれば、その結果は確率に従います。

ところが、多くの人々は直感で意思決定を行うのですが、必ずしも、確率を意識した選択を行っているとはいえません。長い人生、確率に基づいた最適な意思決定をできる人と、できない人とでは、雲泥の差が出てきます。

意思決定は訓練で身に着けるものであり、学べば学ぶほど、最適な意思決定ができるようになります。そればかりか、他人の最適な意思決定を導いてあげることさえできるようになります。

おこがましいようですが、学びや学問とは、本来、自分を、そして自分の大切な人々を幸せにするために存在しているのです。

社会科学である経済を学ぶとは、このサイトを見ていただいているあなたが、あなたの大切な人たちが最適な意思決定をできるようになるための訓練をしていることに他なりません。

ぜひ、最後まで勉強していただいて、幸せな人生を送るためのステップを、一段上ってみてください。

人間の意思決定を研究すること

「人は自らの効用を最大化するために、目の前のあらゆる選択肢のなかからベストなものを選択するようにプログラムされている生物である」

合理的な経済人モデルを前提とする伝統的な経済学では、人間をそのように定義づけます。

経済学でよく出てくるキーワードに機会費用という概念があります。人はある選択をしたために、その選択をしなければ選べたでたはずのものから得られた利得のことを指します。
この機会費用を考慮して、合理的に意思決定をしているというわけです。

たしかに人間はほとんどの場面で合理的に意思決定をしています。非合理的に見えることでも、本人にとってみれば完全に合理的な選択だったのかもしれません。その意思決定がその人をどんなに不幸にするものであったとしても、本人が納得し選択したのであれば、それもまた良しなのでしょうか?そうであるならば、人間の意思決定を研究することに何の意味があるのでしょうか。

人間は感情を持つ生き物です。現代社会にはさまざまな問題があり、それらの問題の多くは解決されるべきものです。人間の意思決定の総和が形成しているのが社会です。そうであるならば、よりよい社会をみんなで築くためにも、人間の意思決定を研究することは意味のあるのではないでしょうか。

見えざる手はいずれ社会のあらゆる問題を解決するかもしれません。しかし、いま、目の前に困っている人、さまざまな問題があり、それをもしわたしたちの手で改善できるのであればやるべきだと思われます。

理想的な意思決定をしているつもりでも、もしかしたらそれは自己満足で、真実から目を背けたいがために自分に嘘をついて、自分を納得させている可能性はないでしょうか。

この世に生を受けたからには、地上のすべての人が、今以上に幸せになれるように、各人が最適な意思決定をできるような社会にしたいし、それをサポートすることができれば、すごいことなのではないでしょうか。

経済学+心理学=行動経済学

2002年のノーベル経済学賞は、ダニエル・カーネマン教授に与えられました。経済学に心理学を取り入れた行動経済学が以降、ブームとなります。

日本で人気のあるリチャード・セイラー教授も2017年にノーベル賞を受賞しました。セイラー教授は、「ナッジ」理論で有名ですが、日本のコンビニのレジ袋有料化の際の実証実験にも用いられるなど、実践的な経済学としてブームになっています。

合理的な経済人モデルを前提とする経済学に対して、非合理的な人間を想定する行動経済学は、これまので伝統的経済学に対して根本的な議論を投げつけています。

カーネマン教授の人間がリスクに対してどのような反応を示すかというプロスペクト理論も大変興味深い考え方です。

「あっちにおいしい果物があるよ~」というメッセージを聞き逃しても、対してデメリットはないですよね。でも、「あっちに凶暴な怪獣がいるよ~」というメッセージを聞き逃すと、生死に関わりますよね。
わたしたちがいま、この世に存在することができているということは、ご先祖様がリスクに敏感だったからだと考えられます。
その遺伝子を受け継いでいるわたしたちもまた、リスクに敏感でないはずがありません。

人への伝え方によって、人を動かすことができます。

その際、どのように伝えるかですが、ここにリスクの概念を組み入れるのです。これが行動経済学のひとつのポイントといえます。

経済学+交渉術=ゲーム理論

ハリウッドで映画化された「ビューティフルマインド」。1994年のノーベル経済学賞受賞 ジョン・ナッシュの半生を映画化した作新です。

プリンストンの幽霊!。ジョン・ナッシュのあだ名です。白昼夢が見える彼にとって、キャンパスは戦場でした。

このような精神的な病を抱えながら、ノーベル経済学賞を受賞するまでの半生を描いた映画がビューティフルマインドです。

ジョン・ナッシュはいわゆる天才によくみられる一般的には変人と呼ばれる人物です。このサイトで紹介している二コラ・テスラと同じです。

都市伝説ではないのですが、ジョン・ナッシュも死の3日前、「アインシュタインを代替する量子重力の方程式を発見した」と友人に話していたそうです。3日後の2015年5月25日、妻と一緒に乗ったタクシーで事故死しています。

天才は時代に翻弄されるのかもしれませんね。

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